LOGIN「おぉ、これはとても綺麗だな」 魔力汚染の原因だったアンデッド公爵の魂が成仏した瞬間。 黒く濁っていた地下水が、ゆっくりと透明さを取り戻していく。 やがて地下ダム全体は、宝石のように透き通った神聖水へと変わっていた。「まさか綺麗な真水を国中で飲める様になるのね!」 《鑑定》を発動して水質検査したところ、《神聖水《極上品質》》という結果から、これで気兼ねなく飲めるだろう。 水属性魔導士による、ぼったくり詐欺被害も少なくなるとみていい。 試しに飲んでみる事にした。「うん、ここまで来た時の疲労感が一気に回復したな」「やっぱりクロエ様の作る水はとても美味しいです!」「最近はこの水のお陰で、他の水が飲めなくなったわね」 俺が神魔力を手に入れてから、仲間達は普通に飲む事が増えたから、味が変わらないというお墨付きだ。 セレナとシグルーンは絶賛しているが、モルガンは一口一口をゆっくり味わって喉を潤して答えた。「こんな美味しい水を日常的に飲める貴女達が羨ましいわ。この味を国民に早く教えたいわ」「今は頭上に神聖属性を発動しているから、神聖水のままだ。一度効果を切ったら直ぐに普通の水に戻ってしまう」 ダムの壁面に神聖属性の魔法陣を展開して、相乗効果が得られる様に複数を貼り付けておいた。 これで外から流れた魔力汚染された水も流れた瞬間、即座に神聖水に変えられる便利機能だ。 そこにニーナが提案しだした。「そこの魔法陣に私の《バフ》も術式に加えても良いですか? 一般庶民は戦闘とは関係ないですが、健康面や怪我の回復力を高める事が出来ます」「そうだな。この水を飲んだり、この水を使ったアルコール類や炭酸水で《バフ》を得られる冒険者だって、増えてくれると頼もしいしな」 ニーナが神聖属性の魔法陣に《身体強化》・《魔力汚染無効》・《状態異常無効》・《体力上昇》・《魔力上昇》・《全能力値50%上昇》の術式を加える。「こんな《バフ》見た事ないわ。他国が見たら国民を徴兵して戦争レベルにする勢いだと勘違いされるわね」「徴兵はともかく、魔力・スキルが無いから冒険者になれない国民だっているはずだ。自ら率先して冒険者になりたい人も増えるはずだ!」 早速期待しながら、気長に待つ事にしよう。「次の改善は獣道の道路整備だったわね」「それは職人達と働きアリ達に任せてある。明日
この数週間でキャメロットとローゼリアンデッドの両国民に早急に洋式便器の設置を広める事が出来た。 最初は3人みたいに抵抗感を見せられたが、1人に体感させて爽快感を知ってもらい、そこから1人又1人と少しずつ広める事に成功した。 ローゼリアンデッドの方は元から下水道処理もされているから、簡単に終わったが、キャメロットの方はあまり処理されておらず、少し手間取ったが早急に終わらせる事が出来た。 これで悪臭問題だけでなく、疫病対策にも繋がるから心配は消えた。 モルガンは、まさかコスト0で国中の大工事を終わらせた事に大喜びしていた。「まさか短い期間で終わらせられる何て奇跡よ!」「両国民から汚物の悪臭が消えたって声も聞いたな。それほど国民も実は嫌がっていたんだな。次のインフラ整備としては……」 モルガンが持っていた改善リストを眺めるも、まだまだ沢山あるが一つずつ改善していけば終わらせられる。 それに働きアリ達も仕事を欲している。 人手不足を補える上、必要な道具も全て揃えられるから、最低限のコストで進められる。「次は水道・浄水問題だな」 基本的に水属性魔導士以外の人間は、飲み水をアイテム屋で購入する必要がある。 他にも水属性魔導士が氷・水を商売しているが、ぼったくりにも程がある金額だ。 生きている以上飲み水は必要不可欠だからな、お金が無くても飲める様に王都市部・各地域にある井戸水を綺麗にしなければならない。「魔界から流れる魔力のせいで、大地も汚染されているから自然の水は危険ね。死にはしないけど……体調不良何てのもあるわ」 キャメロット王国の地下には、山脈から流れ込む巨大な地下水脈が存在している。コレも神聖教会のシスターに水を浄化してもらっていた。 俺のせいでお布施として、ぼったくられていたのだとか。 まさか俺のせいで、他国の民がツケを払っていた事になるとは申し訳ない。誰も飲み水に困らない国を目指さないとな。「そもそも何でゲートをあそこに作って、魔王や魔族共は仕掛けないんだ?」「前回の勇者様と魔王の決戦によって、魔王と魔王軍は壊滅的な打撃を受けたわ。その証拠に10年は魔王は見てないわ」「それで前回の勇者様は?」「無事、我々人類が勝利を収めたけど……勇者は依然として行方不明。噂によると魔王と相打ちなったと言われているわ」 もしかしてまだ魔界
Aランクモンスター、盗賊団を片付けてキャメロット王国に帰還した。 大量の素材をこのま収納しておくのも勿体無いし、鍛冶屋に行ってみる事にした。 店内はガランとしていて、本来は商品として壁には防具・武器等が並べられていてもおかしくないはずだが何も無い。 店の奥に行っても鍛冶道具は一通り揃っているが、炎は付いていないし人の気配さえない。「これは一体……」 俺の代わりにアーサーが答えてくれた。『ここには鍛冶屋がいたんだけどね、冒険者も限られているし、武器素材となる鉱石、モンスター素材も手に入りにくいからといって国を離れてしまったんだよ。騎士専用の鍛冶屋はいても……一般向けの鍛冶屋はいないんだ』「まずは国が安全になったと各国に教えて、商人達の開拓ルートにもなってもらう必要があるな。さっきみたいにモンスターや盗賊にも襲われないようにしたり、馬車が歩きやすく歩道整備したりね」 正門から続く獣道も魔界の魔力に汚染されていて、馬自体が歩くには問題ないが荷物詰めていると歩き辛くなる。 ここは綺麗な海もあるし、旅行には最適の立地だ。 初心冒険者はともかく、強いモンスターと戦いたい上位冒険者だっているはずだ。 一般市民や他国の貴族が安心・安全に旅行できたり、冒険者達の為に武器屋・防具屋・アイテム屋等を取り扱う人間を呼ぶ事。 そして何よりまずはインフラ整備を整えないといけない、じゃないと他所から人が来ても何も他揃ってないじゃ意味がないな。 ♢♢♢ 俺の《ネットショップ》から引き出したお菓子・洋菓子を堪能していたモルガンや一部の貴族に相談する事にした。「……という事で、まずはインフラ整備から始めようと思う。どうかな?」「……え? どういう事!?」 楽しく会話していたのから一転、いきなり言われてモルガンは素っ頓狂な声を上げてしまった。 シグルーンは「またこの展開……」と一言愚痴って、呆れ果てていた。 今度は分かりやすく丁寧に説明したら、何とか理解してくれたものの、デスクワークの引き出したからリストを見せてくて、説明してくれた。「新女王様がこの国を見て、ある程度の状況を知ってもらえたけど。この国は人類の最終防衛ラインと言っても過言ではないの」 リストにはインフラ整備する部分・人員補給・人員を招く宿費用の合計金額に対して、王国の税収は大赤字
盗賊団討伐に向けてキャメロットの正門を出た。「ローゼリアとはまた違った景色だな」 来る時は海しか見ていなかったから、地平線まで色鮮やかに続くエメラルドグリーンの絨毯が広がっていた。 街道の両脇には遮る物が何一つ無い、その代わりに大自然を我が物顔で堂々と徘徊しているモンスターも多い。 海の上にある魔界ゲートから垂れ流しの魔力のせいで、ローゼリアのモンスターとは一味違う。『クロエ様、あれはポイズンスライムです。飲み込まれたら……ああなります!』 スライムは禍々しい青紫色をしていて毒性由来の体なのか、1体のゴブリンを飲み込むと、体が骨まで溶けてしまった。 モンスターと言えど同種じゃないから、モンスター同士でも争ったりするのだろうか。『アレは他の国でも珍しいと言われる。ゴブリンメイジと呼ばれたモンスターですね』 仲間が襲われた敵討に禍々しい体毛、刺々しい体をしたゴブリンが敵討ちに動き出した。 スライムの体を火属性で燃やしたり、氷属性で凍結させてダメージを与えて倒していた。「倒そうと思ったけど、必要はないか……ん」『グゲゲ……人間……女ダ、女ガイルゾ!』『女ヲ逃スナ! 女ヲ捕エロ!』 魔界産の魔力を浴びると、知性も高くなってゴブリン達も話せる様になるのか。 禍々しい体毛のゴブリンから、魔力量が溢れて身体強化を発動した。「アレは《バフ》強化に似てるけど、違うのか?」『こちらのゴブリンは人間の女・メス型モンスターから発せられる女性ホルモンを感知して、ゴブリン特有のオスホルモンによって《自己バフ》強化になります』 ゴブリンに犯されるなんて冗談じゃない。「奴等は闇属性なのか?」『その通りです。聖属性を発動して、我輩が片付けましょうか?』「それもそうしたいけど……」 プリンの実力も見たいが、メインの盗賊団に取っておきたい。「まだプリンの出番は早い。まずは君達が倒してみてくれ」 ゴブリンの群れと言っても数十体だから、俺は魂からキャメロットの軽装鎧を纏った兵隊アリの美女達に任せてみるか。 どこまで出来るか《バフ》&《デバフ》は無しにして、彼女達の実力が何処まであるか見てみたい。 同じ数だけのゴブリンと美女兵士達が衝突する。 お互い鉄製の武器同士が、剣戟による鍔迫り合いで火花を散らす。 ゴブリンの攻撃を受けた部分だけ斬られたり・風穴
この数時間は戦闘・会議の連続だったから、この解放感は堪らない。 シグルーンのお陰で、ここの貴族・王族とも取引は上手くいった。「あ〜やっと外に出られた〜!」「お疲れ様でした、クロエ様!」 こんな良い天気の日に室内にいるのは勿体無い。バルコニーから外を眺めると城下町も少し落ち着きを取り戻した。「そうね。この時間なら何か屋台でもありそうね」「それなら、外で食べるのも良いわね」 朝からここまで来て何も食べてないし丁度、お昼の時間だからキャメロットの食事を楽しみたいな。 海が近いから新鮮な魚の刺身・焼き魚もあったからな。ナーガ達が上手くやってくれているかも視察がてら見に行きたいな。 先ほどアンデッドの女性兵士にしたプリンが答える。『ならば、我輩が王国内を案内しようぞ!』「それは助かる。て事で案内はよろしく」 まずはここ王都を中心とした都市部を案内してもらう事にした。『一流の冒険者ギルド・宿屋・武器屋・防具屋・道具屋・レストラン・が揃えられている! ここは海が近いから新鮮で海産物料理が安く食べらるんだ』「酒場はないのか?」『キャメロット産の酒はあるが、他国の酒・肉等は商人頼みが大きい。故に貴族・王族が最優先されるのだ。そして残りをレストランが殆ど買い取るから庶民が一般家庭で食べるのは滅多にないな』 それを聞いてセレナ、シグルーンが良い事思いついたみたいだ。「それではローゼリアでやっていた、酒場メイド・キャメロット店を作りませんか?」「商人が来る商品の値段予想よりも多く……ぼったくり価格になっている可能性もあるわね。月一の商人がわざわざ命懸けで来るくらいだから、それくらいやらないと割に合わないかもしれないわ」 プリンはさっきのビールを思い出したらしい。『さっきのビールとやらは喉越しが良く、キャメロット産エールよりも呑みやすかったぞ。ローゼリアの国はいつもアレを呑んでおられるとは……羨ましいな』「その「羨ましい」が無くなるんだ。ここでも酒場メイドを作って皆が好きな物を飲み、好きな物を食べる平和な国にしようと思う」 王都を歩いていると、まだ歓迎の余韻が続いていたのか国民から話し掛けられた。「まさか"特例"でモードレッドちゃんが倒されたと聞いて、ハラハラしたが、あの神魂教のクロエ様が女王就任とは皆大歓迎ですよ!」「こっち
「他に意見や質問はありませんか?」 俺は質問しながら周りの表情を伺うと、賛成派は満々な笑みを浮かべていた。「久しぶりに有意義な時間を過ごせました。クロエ女王陛下」「えぇ、本当にね。女魔導兵がいなければ《バフ》強化・武器に付与さえできないと言うのに」「仕方ないわ。自分達より劣っている存在を見下さないと、小さな矜持を守れないのよ」 女性貴族達の今まで溜まっていた鬱憤が、噴火並みに愚痴が溢れるな。 今は魔法という便利な武器があるからな、強い剣や強固な盾を装備すれば良いという話でもないのに。 この国では珍しく、女性騎士賛成派の男性貴族が声を上げた。「各国では改善されているのでしょうが、この国では未だに男尊女卑・男性至上主義が根強い国です。ですが……神魂教教祖様・クロエならば、誰も文句は言うまい」 「あぁ、そうだとも。ワシも我が妻も若き頃の美しさを取り戻す事が出来たのだ。感謝する人間はおっても、非難する人間はおるまい」「皆感謝していましたよ、過去の怪我や病気が治ったとね。過去の神聖教会とは偉い違いだよ」「信仰するだけで実際に様々な恩恵を得られるとは……まさにクロエ女王陛下は人類の救世主だよ」 いつもは呼び捨てだからな「女王陛下」と後ろに付け加えられると、照れ臭いというか……もどかしさを感じるな。「そこまで褒めてくれるとは思わなかったです。皆様ありがとうございます。私から一つだけ……皆や国民とフランクな関係の方が接しやすい。俺は王族血統でもないんだから「女王陛下」はまだ慣れないから、名前呼びで良いですよ」 元反対派の連中が否が応でも、俺のご機嫌取りにならないと自分もアンデッドの女兵士にされると思い込んでいるらしい。「クロエ女王……いえ、クロエ様の実力を拝見できて光栄です!」「クロエ様のアンデッドで国の防衛力を高める事が出来ます!」「この国は立地的にと他国・魔界の侵略の隣り合わせですからね」「今まではアーサー王がいたからこそ、他国は脅威として見られてきましたが……まだ他国はクロエ様の脅威を知らないので、好機として見らる可能性もあります」 反対派なりにも国を考えているのは当然だよな。「もちろん。その為に防衛力を高める必要がある。先ほど100体のナーガを作って海にいる危険なモンスター、侵入者の排除を命じてありま